2019 Vol.3 – Interview: The MEF 2019 Grand Finale The discussion theme is entrepreneurship -          Take a chance with curiosity and enthusiasm

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2019 Vol.3 – Interview: The MEF 2019 Grand Finale The discussion theme is entrepreneurship -          Take a chance with curiosity and enthusiasm

インタビュー:MEF 2019グランドフィナーレを語るテーマは、アントレプレナーシップ 好奇心と熱意でチャンスをつかめ

神永 晉氏(MEF 2019 インターナショナルアドバイザリーコミッティ 副委員長/SKグローバルアドバイザーズ 代表取締役)

聞き手:稲子みどり(MEF2019組織委員会執行委員/Holst Centre Japan, Region Manager)

For the grand finale of MEF 2019, "panel talk" was newly selected instead of the annual panel discussion. Mr. Susumu Kaminaga will take a role of the moderator, and proceed the discussion with two great panelists- Dr. Kurt Petersen (Band of Angels, Silicon Valley: the grand person in MEMS industry) and Dr. Franz Laermer (Bosch: the inventor of the "Bosch Process"). The theme has decided as "Entrepreneurship".

There should be entrepreneurship among various companies. Mr. Kaminaga and two legendary persons will discuss about both entrepreneurship in venture companies and in large companies from various angles.

MEF2019のグランドフィナーレには、例年のパネルディスカッションに代え、新たに“パネルトーク”という試みが選択されました。私がモデレータを仰せつかり、パネリストには、MEMS業界の重鎮Kurt Petersen(Band of Angels, Silicon Valley)とBoschプロセスの生みの親Franz Laermer(Bosch)のお二人にお願いしています。テーマは「アントレプレナーシップ:企業家精神」としました。

●親友と共に語るアントレプレナーシップ

 

 MEMS Engineer Forumは今年で11回を数えますが、Kurt Petersenは初回を含め、もっとも多く来日した講演者の一人であり、MEFへの多大な貢献者です。

KurtはIBMの研究所在籍中の1982年に、「Silicon as a mechanical material」という論文を発表しました。これは我々MEMSに携わる者たちにとってのバイブルであり、Kurtは神様と言えます。1987年にMEMSという用語ができる以前に、MEMSとは何か、その実現にはどんな微細加工技術が必要か、などを示唆した内容となっています。彼は1985年に世界初のMEMSセンサのベンチャー「Nova Sensor」を立ち上げました。それ以降も、次々と新たなベンチャーを立ち上げ、企業家を指導し、数多くの成果を上げています。

 

 1990年、Nova Sensorを訪問したのが、彼との初めての出会いになります。1995年、私は英国のSTS社(Surface Technology Systems:住友精密工業の子会社)において、世界で初めてBoschプロセスに基くSi深掘りエッチング装置(DeepRIE)を製品化しました。以後この微細加工プロセス技術が、MEMS製造の強力な推進力になりましたが、こういった成果を彼は高く評価してくれました。彼の立ち上げたMEMS振動子のベンチャー「SiTime」で完成したSiTimeプロセスは、STS/住友精密のDeepRIE技術と、犠牲層エッチング技術、二つの技術を駆使して開発されたものです。SiTimeが世の中に広く普及したために、私が開発した微細加工技術もさらに評価され、MEMS加工技術のスタンダードとしての地位が強化されました。

 Franz Laermerは、DeepRIEの根源であるBoschプロセスの発明者で、1994年に特許を取っています。実は彼は、今回MEFでの来日は初めてとなります。MEMSの世界でBoschプロセスを知らない人はいませんから、MEFにとってある意味画期的かと思います。

 

 二人とも私にとってMEMSを通じた親友です。二人には基調講演もお願いしていますが(2日目・4月25日)、それぞれの立場で企業家精神を語って頂きたいとお願いしています。Kurtには、自身の経験から「成功するベンチャー、失敗するベンチャー」など事例を入れて大いに語って頂き、Franzには、Boschプロセスがひらめいたきっかけや、どのような経緯でこのような画期的な発明につながったのか、語って頂きたいと思っています。せっかく二人そろって来日してくれるので、それぞれのキャリアにフォーカスしながら、議論に展開することが面白いのではないかと思います。

アントレプレナーシップは、新興のベンチャーカンパニーにも、大企業の中にもあるはずです。Kurtの視点からベンチャーの企業家精神を、Franzの視点から大企業内の企業家精神を語って頂き、その本質に迫りたいと考えています。そこには共通点も、異なる点もあるでしょう。

いわゆる大企業の中での新規事業を立ち上げたという意味では、私自身も似たような経験をしています。MEMSをビジネス化するため、何が鍵になるか、どんなコツがあるのか、というストーリーを紡いでいきたいと思っています。

 

●先人はどのようにチャンスをつかんだか

 

 企業家として、まずは好奇心(Curiosity)を強く持つことはとても大切です。これが無ければ何も始まりません。好奇心を膨らませようとしたとき、それを支えるのは熱意(Enthusiasm)です。そして、「さあ、やるぞ」、という気持ちになったとき、あえていったん立ち止まり、想像力(Imagination)でビジネスの姿を描くことが大切です。たとえば、他の人からどう見えるのか、お客様からどう見えるのか、あるいはマーケットからはどうなのか、想像力を駆使して描く。それで次に確信が持てたなら、想像力を創造力(Creativity)に展開します。これらのステップを踏むことによって、新しい事業を成功に導き、人財も育つだろうと私は信じています。

 KurtやFranzのみならず、MEFに講演者として海外から参画頂いている方々は、皆さんそのようなチャンスを自ら勝ち得る術に長けた人たちではないでしょうか。

日本にも数多くのベンチャーが存在しますし、見どころのある若い企業もあります。しかし、アントレプレナーシップという観点から見ますと、日本は圧倒的にビハインドです。ハイテクに限らずほかの産業界でも、信念をもって立つ者が多くない。有望な日本のベンチャーが表舞台に出てこないのは、日本にアントレプレナーシップを生かす土台が未だ世界に比べて弱いからかもしれません。このままだと、有望な日本のベンチャーは海外に行ってしまいます。日本には優秀な研究者やエンジニアがたくさんいます。良いアイデアも生まれているはずです。ところがそれらを生かせる土壌が育っていないことがとても残念です。学界でも産業界でも、国全体として、彼らを正しく評価して生かすシステムがまだまだ必要だと思います。しかし何より、個々の好奇心と熱意がベンチャーには大切です。

 アントレプレナーシップの文化が先行している欧米では次々にベンチャーが生まれています。そして、中国のアントレプレナーシップ文化が、今後どんどん育っていくでしょう。

 

●MEMSと時代の変化

 

 振り返ってみますと、1990年代後半、日本のMEMSは学術的にも工業的にも、世界をリードしていました。しかし2000年代になると、その地位が低下していきました。アントレプレナーシップが育っていなかったことが理由の一つにあると思います。大企業がMEMSに投資しなくなり、ベンチャーも機会を失っていきました。残念なことですが、日本で半導体ビジネスが縮小傾向になってきた頃、MEMSもその傾向につられて縮小気味になってしまった。しかし一方で海外に目を向けると、ムーアの法則が行き詰った半導体ビジネスから、様々なアプリケーションの可能性を秘めているMEMSに投資を移行させる、という逆の現象が起きている。MEMSが縮小していったのは日本だけでした。そんな中で、ここ数年のIoTの拡がりの中、日本でも再び注目され始めたMEMSの役割は重要です。

 そもそもMEMS Engineer Forumは、MEMSの可能性をもっと議論し、その存在をアピールし、発展させようというコンセプトで始められました。その成果が、ここ数年、2日間で延べ700名を超える集客数や多くの出展者数などに反映されているのではないかと思います。しかし、私たちの願いはMEMSビジネス全体の盛り上がりです。今後もMEFでメッセージを発信していきたいですね。

大変名誉なことに、「なぜ30年にもわたって研究開発・事業開発を牽引してこられたのか」という質問をよく頂きます。KurtにもMEFで来日する度に聞かれます。一つの答えとしては、「Kurt Petersen、Franz Laermerが居たから、そして、江刺先生が居たから。即ち、多くの友人に恵まれたから」、という回答をしています。今までの私の講演にも、このエピソードを入れてきました。さらに言えば、「良いと思える技術を世に出して、皆に使ってもらうためにどうしたら良いか」と、ずっと考え続けてきたのは事実です。現在、誰もが使っているスマートフォンにもMEMSはたくさん搭載されていますし、Boschプロセスに基くDeepRIEが無ければMEMSはできなかった。私たちが、革新的なデバイスやシステム、世の中の仕組みを作ることに貢献できたのは、大きな誇りです。

 時代の節目や人生の節目に、本当に信頼できる人たちが居てくれたということ。そして、その集合体がMEFであると思っています。

 ちなみにKurtは、永年のMEMS事業への貢献が評価され、IEEEから2019年の栄誉賞受賞者(Medal of Honor)として、表彰されることが決まっています。実は、ノミネータは私なのです。MEFにとっても彼は大切な功労者であることから、彼の講演が予定されている時間帯の直前(2日目 冒頭)に、プレセレモニーとして感謝の意を表させて頂く予定です。

 

●発展するMEFの姿

 

 今回11回目を迎えたMEFは、非常にユニークで、素晴らしいフォーラムへと発展することができました。私自身も熱意を持って取り組んできましたが、桑野先生や江刺先生にリードして頂いているということも大きく、国内外を問わず手弁当でご協力頂いている方々がたくさん居ます。そのような方々のパワーが比類ないものであろうと思います。

 私は毎年、グランドフィナーレのモデレータを担当していますが、私の想いは、このパワーを聴講者の方々と共有したいということなのです。それぞれの講演で言い残したことや、語り合うことで引き出せるコメントがあるはずとの想いで、ここ数年やってきました。今回も、お互いをよく知った者同士とはいえ、ライブ感のある密度の濃い議論を三人で展開したいと思っています。期待して下さい。

 

Moderator:

Susumu Kaminaga

Panelist:

Kurt Petersen

 

Panelist:

Franz Laermer

 


MEF 2019 Program schedule is available here.

MEF 2019プログラムはこちらで参照頂けます。

 

Info about ”MEF2019 Exhibition Features” is here.

MEF2019では、技術展示会を併設します。出展者情報こちら

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